これまでの表紙

花待つころ


 暖かい地方からの、花だよりのきかれるころとなりました。桜前線が列島をわくわくさせながら北上し始めるのも、もう間近。山道を歩くと木の芽の膨らんできているのがわかります。金沢東山の町屋をリノヴェーションしたカフェで「花一会はないちえ展」をしております。桜の模様の器いろいろ並べてきました。


 


 さて、写真は、櫻の器に気持ちだけ春めいた、今日のお昼ご飯です。奥の、赤絵の菓子鉢に、春キャベツとリンゴのサラダ。胡桃があると良かったんですけれど、胡麻で代用。真ん中は、染付け櫻小付けに定番の菜の花のおひたし。加賀のすだれ麩を混ぜてみました焼いて味をつけてあります。その右、 色絵櫻八角皿にはあたりまえの卵焼き。左はひじきの白和えを染付け櫻肩身代わり四方鉢に。手前右側の、花いかだ丸長皿には、加賀市の橋立漁港で水揚げされたバイガイのお刺身。 加賀市はあちらこちらの村落をまとめて市にした、ロラン・バルトもうなる中心の無い町なので、北前舟でにぎわった海辺の町から、我が家のような山深いところまでさまざまなんです。


 


染付け桜飯碗の中は黒米ご飯の花の山。ご飯の色が薄墨桜風でしょう?根尾谷の、薄墨桜、今年は雪が多かったからだいじょうぶかなぁ。今年はどんな桜にであえるのでしょう


 


個展の会場は金沢の東山の茶屋街の一角にあります。近くの浅野川野の河畔の道にも桜並木があります。町屋ギャラリーの二階から眺められるかしら。個展期間中、句会など何回か出かけますので、今年は金沢の桜を楽しめそうです。花びらの数が三百もあるので有名は兼六園菊桜は花期が遅いのでしがつになるとおもいます。若い時分は「桜は一重に限る」などと思っていましたが、八重の里桜も、また悪くないと思うようになりました。鄙びた華やかさが、心ならずも太ってしまった優しい家刀自みたいです。


 


毎回、個展のときには,拙作の俳画を一緒に飾るのですけれど、今回は間に合わなかったので、これから描いて9日の句会のときにでも持っていこうと思います。 カフェ・ギャラリー「一笑」は、お気づきのことと思いますが、芭蕉の弟子の金沢の俳人、小杉一笑のゆかりの地にございます。二階には、貴重な句集など、俳句関連の蔵書が並んでいて、読み始めたら時間のたつのを忘れそうです。古都の花町の町屋で、格子戸越しの人のざわめきを遠く聞きながら、ひねもす古い句集を紐解いてすごすなんて、洒落た春の日のすごし方ではないでしょうか。

私も、御店番がてら、本を読みに行きたいなと思ったんですけれど、きっと読みふけってしまって、店番の役には立たないでしょうね。

                                       


先月もここに書いた川辺の一輪草、咲き始めました。山里の春は一気に駆け出しそうではありません。そろそろと上流へ、咲き上ってゆくようです。


塩壷の匙の傷みや花のころ   おるか  


 


                           2014年3月3日