うつわ歳時記 これまでの表紙
<<<夏はカレー でしょ!
暑い日に熱いカレーはおいしい。ありあわせのもので夏野菜のカレーです。今日は小さなトマトゴロゴロカレー。御飯は、ターメリックとクミン炊き込み。サフランがあればもちろん入れたいところですがお高いので、秋に庭にサフランが咲くまで、サフラン・ライスはお預けです。
染付けの瓜形鉢には、アボカドとマグロの辛子ドレッシング和え、この鉢は大きさが手ごろなので使いやすく、何かと便利です。 いつもの荷葉形小付けのチキンサラダもありあわせのスパイスぶち込みのロースト・チキン、紅茶にもシナモンとクローブ。白状します。今日は、つまり封を切って日数が経ってしまったスパイス類一掃のメニューなんです。
スパイスは、古来から、人を魅了し、珍重されてきました。ヨーロッパを大航海時代に駆り立てたのもアジアの香料の魅惑が一因だという人も居るくらいですから。とは言え、今日も使ったクミンは旧約聖書にもでてきます。マタイ伝などに。翻訳によっては、クミンではなくコリアンダーになっていたりします。同種の植物は日本にもあり、塚本邦雄は催馬楽にある「大芹」はこの種類の、漢方薬でいう當帰であろうと書いています。たしかに、わざわざ「国の禁物」と謳われているからには、たんなる芹ではなかろうとおもいますね。
よく使うスパイスにフェンネルもあります。こちらは古今集にもうたわれています。
来し時と恋つつをれば夕暮れのおもかげにのみ見え渡るかな
物名歌で、フェンネルの日本古来の語「くれのおも」がよみこまれいます。さがしてね。
シナモンは御菓子に良く使う香料ですね。シナモンのない焼きリンゴなんてかんがえられませんものね。インドでは紀元前3000年ごろからつかわれていたとあります。肉桂・ニッキとしておなじみで、我が家の庭にも二本あります。暖かい気候を好むので昨今の温暖化の影響か、この頃青々と元気です。クスノキ科は、肉桂、黒文字など、どれももよい香りですね。
さて、写真に戻りましょう。左の馬上盃には、モッツァレラ・チーズとカテージ・チーズにブルーベリーです。ニンジンとキュウリの入れ物はお湯のみですが、深向こうにも使える大きさかもしれません。ざんぐりした絵付けが涼しいかなと思って。
暑さに備えて、スパイスで身体に活を入れたいと思います。仏様は香りが食べ物という香食身だそうですが、私もけっこう香りで生きている気がします。香り、大事ですよね。私が今までに嗅いだ一番良い香りは、昔、夢でみた水の香りです。
そういえば今日は七夕。季節感としては、旧暦の方がぴったりきますね。
草木の香や星合の夜をこめて おるか
2014年7月7日