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素麺 日和


 六月に入って、急に暑くなりました。素麺の時節到来。なんだかんだいって、お手軽なんですよね。火の前に立つのがおっくうなのでありあわせのもので一人素麺です。



   うまうまと一人暮らしや冷素麺  山田みずえ  



という句を思い出しますねぇ。さて、染付けの菓子鉢に放した素麺には、海藻サラダって売られている干した海藻類をぱらぱらと浮かべてあります。彩がきれいで涼しそうなのでおすすめですよ。手前のぐい飲みに薬味など適当に。右側のぐいのみは、名優 緒方拳さんが絵付けなさったもので、見込みに味のある字で「酔々」と書いてあります。


染付けの蓮華向付けにはコールド・ビーフ。上絵の「緑風向付」には冷奴と卵焼きです。蕎麦猪口は定番の線香花火蕎麦猪口と朝顔蕎麦猪口。奥の染付け遊亀蕎麦猪口には、モズクの酢の物に錦糸卵、ほとんど見えてませんけど。錦糸卵を入れると御酢のきつい感じを和らげてくれるので、私はよく入れます。


お箸は先日山中温泉の「mokume」で買った栗の木のお箸です。素麺がとりやすくて、さらさらたべてしまいました。個人的には、細い御箸が好きなのですが、このくらいまでならOKです。染付けの魚箸置きは、手捻りなので大きさもしなり方もみんな違います。


ランチョン・マットがわりに敷いた朴の葉の良い香りが漂います。ニュアンス添えるためのちょっと濃い目の緑の葉っぱは枇杷の葉です。朴の葉って「さぁ!ものを包んでください!」っていう姿をしていますね。


話は変りますが、昨晩、真夜中に時鳥が鳴いていました。闇に響く『テッペンカケタカ」はちょっと怖かった。そうそう、今年は久々に赤ショービンの夢のような声も聞けました。全山の緑の中に、悲しいほど赤い小鳥。ベランダまで来てくれないかなー。


今は、鶺鴒がよくないています。ひぐれには筒鳥も鳴きますよ。鳥の声がいろいろ聞こえるのは楽しい。その内容がかなり下世話な餌とテリトリーの宣言でしかないとしても。


 


筒鳥や仕事なき日もできる日も   おるか  


 


                           2014年6月2日